概要:
最新のフレームベースのレーダーをシミュレートするには、システムは本質的に複雑で、ミッション、モード、および環境の考慮事項に基づき、時間とともに大きく変化する信号を迅速に作成またはスケジュールする必要があります。複数のパルス繰り返し間隔(PRI)、さまざまなタイプのパルス変調(MOP)、および振幅と周波数の急激な変化(ドップラー、群遅延、およびクラッタの影響を含む)を考慮に入れ、通信、電子攻撃、または対策のスケジューリングなどのマルチミッション操作に組み合わせる必要があります。
この記事では、テスト目的だけでなく、プロトタイピングや技術調達のニーズを満たすのに十分に多目的に使用でき高度に再構成可能なエミッターの作成に使用できる完全モジュラーハードウェアシステムを解説します。
はじめに:レーダーシステム
レーダーシステムは、4つの異なる動作領域に分類できます。
1.波形の生成: 特定の波形を生成し、特定のRF特性(パルス幅、変調)と適切なPRIを持つレーダーモードの形式でその再生をスケジュールする機能。
2.マイクロ波送信システム: 十分な周波数と振幅の敏捷性で波形をアップコンバートする能力。
3.マイクロ波受信システム: 十分な周波数と振幅の敏捷性を有するマイクロ波ダウンコンバージョンシステム。
4.信号処理: レーダーの次の波形またはモードに影響を与えるレンジ、速度、およびその他の環境条件を判断するための適切な信号処理を提供するIF処理システム。
技術の進化を考えると、コンピュータ処理は年ごとに変化し、信号処理とIF技術は5年ごとに変化し、マイクロ波の技術は遅く10年のペースとなっています。上記の4つの領域は、それぞれ定義された特性と既知の物理インタフェースを持つ物理ハードウェアモジュールにマッピングでき、従来のレーダー設計よりも効率的に適切なテクノロジライフサイクルにマッピングするシステムを作成できます。
1.波形生成: Pentek Cobalt 「Model 78620」 PCIeモジュール(信号開発ソフトウェア付き)。
2.マイクロ波送信機: Giga-tronics GT-ASGM18A超高速周波数スイッチングシグナルジェネレータ。
3.マイクロ波受信機: Giga-tronics GT-ASAM18A超高速周波数スイッチングシグナルアナライザ。
4.信号処理: 信号処理ソフトウェア/ファームウェアを備えたPentek 「Model78620」 PCIeモジュール。
波形生成と信号処理:
Pentek 「Model 78620」高性能PCIeボードは、ザイリンクスVirtex-6 FPGAをベースにしています。「Model78620」は、多くのEW(電子戦)アプリケーションで使用されており、ほとんどの最新のCOTS PCに実装することができます。「Model78620」は、マルチチャンネル高速データコンバータとして、Giga-tronics社のGT-ASGM18A Advanced Signal GeneratorやGTASAM18A Advanced Signal Analyzerなどのマイクロ波アップ/ダウンコンバータのIF入力との接続に適しています。
Pentek 「Model 78620」に内蔵されているデータ収集および波形生成機能は、レーダーおよび電子戦(EW)のベースバンド信号シミュレーションに理想的なターンキーソリューションを提供します。「Model78620」には、3chのA/D、2chのD/A、および4つのメモリバンクがあります。 ホストインターフェイスとしてPCI Express Gen. 2をサポートすることに加えて、「Model78620」は、アプリケーション固有のI/Oオプションとしてギガビットシリアル及びGPIOもサポートしています (Figure 1を参照)。
マイクロ波アップコンバージョンおよびダウンコンバージョン:
Giga-tronics GT-ASGM18AアドバンストシグナルジェネレータおよびGTASAM18Aアドバンストシグナルアナライザは、100 MHz~18 GHzの周波数で信号を送受信するのに理想的な、高忠実度、コヒーレント、高速周波数スイッチング、アップおよびダウンコンバータです。これらのユニットは、AdvancedTCA(PICMGの商標)の拡張であるオープンシステムのモジュラー計装規格であるAXIeに基づいています。
Giga-tronics社のGT-ASGM18AとGT-ASAM18Aは、高速、高精度のローカルオシレータを内蔵しており、広帯域で極めて機敏なコヒーレント周波数スイッチングを可能にします。これらのユニットは業界標準のAXIeモジュラープラットフォームに基づいているため、アップコンバージョンとダウンコンバージョンの複数の位相コヒーレントチャネルを使用して、特定タイプのレーダーのエミュレートや、波面を作成して到来角のエミュレートができます。
Giga-tronics社のGT-ASGM18AとGT-ASAM18Aは、Pentek 「Model 78620」からIF信号を受け取り、それを18GHzまでの範囲の任意の周波数にアップコンバートまたはダウンコンバートすることができます。
GT-ASGM18AとGT-ASAM18Aは、1マイクロ秒未満でコヒーレントに任意の周波数に再同調することができ、その周波数範囲にわたって通常±1dB以内の振幅フラットネスを維持することができます。オプションの高速マイクロ波出力アッテネータは、出力範囲を90 dB拡大し100 dBcを超える信号生成範囲を可能にします。
IF変換:
Pentek社の「Model78620」からのIF信号を整合させるには、78620の最高性能を利用し、それをマイクロ波アップ/ダウンコンバータの1200 MHz IFに整合させるために選択された30 MHz IF信号に変換する必要があります。Giga-tronics GT-SRM100Aシステムリファレンスモジュールは、Figure 4に示すように、IFアップコンバータおよびダウンコンバータを駆動するためのLO(ローカルオシレータ)として使用できる10 MHz、100 MHz、および1200 MHzの出力を提供します。
すべてを統合:
Figure 5に、4つの独立したRFチャネルを使用したシステムの例を示します。
同様のブロック図を受信機にも使用することができます。レーダー制御およびスケジューリングソフトウェアは波形の再生時間をスケジュールし、受信機PCおよびRFサブシステムからのLAN接続は受信信号の性質に基づいて次のモード(PRIまたは波形)を決定します。波形は「Model 78620」 AWG(任意波形発生器)内でスケジュールされ、波形の周波数と振幅はPCIe経由でリアルタイムに制御されます。必要に応じて、Pentekボードからトリガを取得し、それを使用してRFシャーシの周波数と振幅の変化を確定的に制御することで、細かいタイミング分解能を維持できます。
まとめ:
単純なシングルチャンネルレーダーから複雑なマルチチャンネル周波数アジャイルレーダーまで、最先端の波形作成および処理技術を使用して、さまざまなレーダーおよびレーダーエミュレータを作成できます。すべてのハードウェアコンポーネントは市販されており、カスタムハードウェアは不要です。レーダー警報受信機や電子対抗手段システムなどの複雑な機器のテストは、このプラットフォームのアプローチで簡素化され、新しいタイプのレーダープロトタイプを迅速に作成することができます。そしてさまざまなプログラム間で共有されます。
Giga-tronics社については
https://go-asg.gigatronics.com/をご確認ください。
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原文ドキュメント:Pentek社
PIPE251.pdf
Simulation of Modern Radar Systems using Pentek Model 78620 Boards with the Giga-tronics
GT-ASGM18A Advanced Signal Generator and GT-ASAM18A Advanced Signal Analyzer
関連製品
Model 78720:200MHz A/D & 800MHz D/A搭載 Virtex-7 FPGAボード (VPX/cPCI/AMC/XMC/PCIe)
Model 78821:200MHz A/D & 800MHz D/A搭載 Kintex UltraScale FPGA(DDC内蔵)ボード (VPX/cPCI/AMC/XMC/PCIe)
Pentek社について
Pentek社は、ISO 9001:2015認定企業として、デジタル信号処理・ソフトウェア無線・データ収集用の組込みコンピュータボードおよびレコーディングシステムを設計・製造しています。製品には、商用環境と耐環境の両方に対応したAMC、XMC、FMC、PMC、cPCI、PCIe、VPXのフォームファクタで準備されており、レーダ、無線通信、SIGINT、ビームフォーミング等の用途に幅広く利用されています。Pentek社の詳細については、www.pentek.comをご参照ください。