英スコットランド/エディンバラのAlpha Data社は宇宙における適応型データ処理を可能にするSpace 2.0用Versal AIコア開発キット「ADK-VA601」のリリースを発表しました。この開発キットは、6U VPXタイプで完全に放射線耐性のあるリファレンス設計により構成されており、宇宙設計者が宇宙で適応可能な次世代プロセッサを迅速に開発できるようになります。開発キットに含まれるハードウェアは、宇宙空間で利用可能なバージョンも提供されます。
ADK-VA601は、オンボード処理(OBP)および軌道上再構成が可能な適応型システムオンモジュール(SoM)であり、マルチセンサーデータの融合、容量の増加、地上と宇宙間ネットワークの統合の可能性を提供します。
ADK-VA601は、宇宙マーケットの軌道上処理とモジュラー標準に適合するように設計されており、展開までの時間を短縮し高性能デジタル処理を軌道ペイロードに導入します。これらのペイロードは、高解像度の光学画像やレーダー画像から、機械学習、人工知能、マルチセンサーデータ融合まで多岐にわたります。
業界大手のAMD社、Texas Instruments社、EPC Space社、Teledyne e2v社と協力して作成されたADK-VA601は、220mm 6U Space VPXフォーマットで完全に放射線耐性のあるリファレンス設計を提供します。これは、AMD XQR Versal AIコア VC1902アダプティブSoCを宇宙コミュニティに導入した「ADK-VA600」をベースに構築されています。
Alpha Data社マネージングディレクターのデビッド・ミラー氏は次のようにコメントしています。
「私たちはこれを完全な開発キットとして提供していますが、予め導入可能な形式として提供しているため、顧客にとってより関連性が高く、特定のミッション要件への適応プロセスが合理化されています。業界はカスタムハードウェアから、設計サイクルの短縮とコスト削減を可能にするモジュラー標準へと移行しています。エンドユーザーは微調整やカスタマイズをしたいと考えているかもしれませんが、その作業の90%がすでに当社によって完了していれば、はるかに早く宇宙に到達できるでしょう。それがこの製品コンセプトです。」
ADK-VA601は、業界をリードするコンポーネントの機能を活用しています。モジュールの中心となるAMD Versal Adaptive SoCに加え、Texas InstrumentsおよびEPC Spaceの画期的な160Aコア電源とTeledyne e2vの高性能放射線耐性DDR4メモリを備えた完全な放射線耐性電源ソリューションが含まれています。
このボードはフロントパネルのVITA 57.4 FMC+インターフェイスも備えており、機能拡張とカスタマイズが可能です。付属のVPXリアトランジションモジュールにより、I/Oの柔軟性、システムモニタリング、テストアクセス、ターゲットスクラビング機能が強化されます。新しい規格に合わせて設計された高さ220mmの6U Space VPXフォームファクタは、ラボ開発から極限の宇宙環境での展開までシームレスに移行できるため、宇宙設計者は宇宙飛行可能なハードウェアへの迅速な移行が可能になります。
「Alpha Data社の共同アプローチは、宇宙エコシステムのコンポーネントの魅力的なセレクションを再び1つにまとめ、AMD Versal Adaptive SoCを中核とした、次世代の軌道上処理のための完全なソリューションを作成します。」と AMD社SpaceシステムアーキテクトのKen O’Neill氏は述べています。「電源とメモリが組み込まれた6U VPXフォームファクタへの統合により、設計者は開発スケジュールを加速し、フライト用ハードウェアをより早くデモンストレーションする機会が得られます。」
Alpha Data社は1993年から30年以上にわたり、FPGAベースのアクセラレーションボードの業界をリードするプロバイダーとして、また軌道上処理用のモジュール式標準ソリューションへの移行の先駆者として歩みを続けています。
ADM-VA600製品ページ:https://www.mish.co.jp/product/fpga/fpga-fmc/adm-va600/