当社で取り扱っている各種ボード製品に関連する技術情報ライブラリです。
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レーダ技術
レーダ技術について解説
レーダ(Radar)とは
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▮ Radio Detection and Rangingの略で、電波を利用し遠方にある物体を探知し、距離と方位を計測する
▮ 光と同じ原理で反射面に反射する性質を利用し、パルス波を発射することでリターンパルスを受信する
▮ 電波は光の速度と同じスピードで移動することから受信波の時間差を計算して距離を算出する
▮ 1934年に米海軍研究所が最初のパルスレーダを開発
モノパルスレーダ
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▮ ターゲットの角度情報を取得するのに最も一般的なレーダ
▮ 単一パルスで正確に方位角と仰角を得ることができるが、信号処理が複雑になる
パルスコンプレッション
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▮ 高度なレーダに広く使用されている信号処理アルゴリズム
▮ アンテナで受信した反射波と受信したパルス信号(リファレンス)をFFT処理して正確にターゲットを検出する
▮ 2つのターゲットが存在する場合はこの方法で正確に距離を検出できる
マルチスタティックレーダ
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▮ 1つの送信機からターゲットに電波を発信し、その反射波を複数の受信機で受信する
▮ ステルス機などの反射波を元の位置に反射させず別の方向に反射させる機体を検出することができる
パッシブレーダ
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▮ 既存の放送波の周波数を送信波として利用し、ターゲットからの反射波を複数の受信機で受信する
▮ このレーダは受信のみの動作となるため非常に静かである
▮ 複数の受信機で受信することで、よりターゲットの位置を正確に検出することができる
▮ 既存の放送波を利用するため送信電力が小さく検出できる範囲も制限される
合成開口レーダ
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▮ 一般的にSARレーダと呼ばれ、航空機などに搭載して地上のターゲットを検出するレーダ
▮ 一定の範囲で地上のターゲットをスキャンし、ドップラー周波数シフトを使用して信号処理によりターゲットを詳細に検出できる
▮ 分解能の高さから、災害時の地形観測などにも利用されている
フェーズドアレイレーダ
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▮ アンテナ素子をアレイ状に並べて、各素子の位相を制御してビーム操作を行うレーダ
▮ パラボラアンテナの様な機械的動作が無い為、高速スキャンが可能
▮ 局地的な豪雨や竜巻などを素早く検出するための気象レーダとしても利用されている
▮ 機械的な可動部が必要ないため、F-35戦闘機やイージス艦などに搭載されている
ドップラーレーダ
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▮ ドップラー効果を利用したレーダで、観測対象が近づくときに反射波の波長が短くなり遠ざかるときに反射波の波長が長くなることを利用して相対的な速度と距離を計測する
▮ 最も身近なのは自動車の速度違反の取り締まりに速度計測を行っている
▮ 気象観測や空港のダウンバースト検出用にも多く利用されている
海洋レーダ
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▮ 海洋レーダもドップラー効果を利用したレーダで、HF帯(3~30MHz)の周波数を使用して沿岸を観測・監視するのに利用されている
▮ 海流や津波の観測、流氷の監視や漂流ゴミの監視などに利用される
▮ 陸上に設置したアンテナから海面に電波を照射し、反射波を受信して周波数解析する
LIDAR
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▮ Light Detection and Rangingの略で、電波の代わりに光を利用してターゲットを検出する
▮ 原理はレーダと同じで、対象までの距離を発光後の反射光を受光するまでの時間の差で計測する
▮ 近年は自動運転技術のために高級車に搭載されるようになっている
ビームフォーミング
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▮ 電波を特定の方向に向けて送信、または特定の方向から受信する技術
▮ フェーズドアレイレーダで利用している方式
▮ 複数のアンテナをアレイ状に並べて素子の位相を調整することで指向性を制御する
▮ 携帯電話の基地局や気象レーダ、防衛のレーダなどにこの技術が使用されている
ソナー
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▮ Sound Navigation And Rangingの略で、水中を伝播する音波により水中・水底の物体を検出する装置
▮ レーダが空中を伝搬する電波により遠方の物体を検出するのに対して、ソナーは同じ原理で水中の音波を利用する
▮ アクティブソナーとパッシブソナーがあり、アクティブソナーは送信した音波に対するエコー信号をを利用するがパッシブソナーは物体が発する音波を検出する
▮ 海底の潜水艦や機雷を探知する軍事目的で使用されるが、魚群探知機もこの方式で水中の魚の位置や水深などを検出するのに使用されている